低周波治療器を使ってはいけない人とパッドを貼ってはいけない部位、使う前の確かめ方
低周波治療器には、使ってはいけない人と、パッドを貼ってはいけない体の部位が定められています。メーカーの取扱説明書に必ず書かれている内容で、確かめずに使うと体に思わぬ負担をかけることがあります。
低周波治療器を使ってよいかどうかは、体につけている医用電気機器とパッドを貼る体の場所で決まります。持病や体の調子によっては、医師へ相談してから使ってください。
この記事では、オムロンとパナソニックの公式サイト・取扱説明書・PMDAの基準に沿って、次の4点を整理します。読み終えると、いま自分が低周波治療器を使ってよいか、どこに貼ってよいかを見きわめられます。
- 体に医用電気機器をつけている人が、低周波治療器を使えない理由
- 低周波治療器のパッドを貼ってはいけない体の部位と、代わりに貼れる場所
- 医師に相談してから低周波治療器を使う条件
- 低周波治療器を使っている間に、使うのをやめる目安
低周波治療器を使ってよいかは、使う前に3つの条件で確かめる
低周波治療器を安全に使えるかどうかは、次の3つの条件で決まります。1つでも当てはまれば、使うのを見送るか、医師に相談してから使ってください。
- 体につけている医用電気機器:ペースメーカーや心電計といっしょに低周波治療器を使うことはできません。
- パッドを貼る体の場所:心臓の近く、首から上、内臓をはさむ位置、陰部などには貼れません。
- 体の調子と持病:妊娠中、悪性腫瘍、心臓の病気、皮膚の感覚がにぶいときは、自分で決めずに医師へ相談します。
次から、この順で詳しい条件を見ていきます。1つも当てはまらなければ、てもとの取扱説明書に従って低周波治療器を使えます。
1つでも当てはまる場合は、先に医師へ確認してください。
体に医用電気機器をつけている人は、低周波治療器を使えない
低周波治療器は、体につけている医用電気機器と電気のうえで干渉することがあります。
オムロンの公式サイトにあるよくある質問でも、この点は「絶対に使わない」条件として示されています。
ペースメーカーなど体内に埋め込んだ医用電気機器がある人は使わない
体の中にペースメーカーや植込み型除細動器、脳や脊髄への刺激装置などを埋め込んでいる方は、低周波治療器を使えません。
低周波の電流が埋め込み機器の動作に影響し、心拍の乱れや重い事故につながるおそれがあるためです。埋め込み機器を入れている人のそばでも、低周波治療器は使わないでください。
心電計など体につける医用電気機器といっしょに使わない
心電計、脳波計、呼吸モニターなど、体の表面に電極を貼る医用電気機器といっしょには使えません。低周波の電流がこれらの記録に混ざり、正しく測れなくなります。
病院で検査中の人や、家でつけっぱなしにする機器を使っている人は、低周波治療器を使うのをひかえてください。検査や測定が終わってからにしましょう。
低周波治療器のパッドを貼ってはいけない体の部位

メーカーの取扱説明書とよくある質問には、パッドを貼ってはいけない場所がはっきり書かれています。まず貼ってはいけない場所の早見表で確かめましょう。
どれも、理由のある決まりです。
| 貼ってはいけない場所 | おもな理由 |
|---|---|
| 心臓の近く(胸の中央〜左胸) | 心拍のリズムが乱れるおそれ |
| 首から上(頭・目のまわり・口の中) | 脳とつながる神経に影響する |
| 内臓を電流ではさむ位置 | 電流が胃や心臓を横切る |
| 陰部・皮膚に異常がある場所 | 症状の悪化やかぶれのおそれ |
| 左右の足の裏を同時に | 心臓を通る道になる |
1つずつ、貼ってはいけない理由と、代わりに貼れるところを見ていきます。ここに挙げていない場所でも、貼ってよいかどうか迷ったら、その日は貼らずにおいてください。
心臓の近くに、低周波治療器のパッドを貼らない
胸の中央から左側、鎖骨の下から心臓の位置にかけては、パッドを貼りません。心臓を電流が横切ると、心拍のリズムが乱れるおそれがあるためです。
肩こりで胸の上のほうに貼りたくなる位置は、心臓の真上や左胸をはずし、肩の付け根や肩甲骨の上側にとどめてください。
首から上(頭・口の中・目のまわり)に、低周波治療器のパッドを貼らない
首から上には貼れません。頭、額、こめかみ、目のまわり、口の中、耳のまわりまでが対象です。
首から上の神経は脳と直につながっているため、低周波の電流が思わぬ反応を起こすおそれがあります。首こりに悩む人でも、貼るのは首の付け根より下、肩や背中がわまでにしてください。
内臓を電流ではさむ位置に、低周波治療器のパッドを貼らない
2枚のパッドで内臓をはさむような貼り方はできません。たとえば、みぞおちの前と、ちょうど裏側の背中に貼ると、電流が胃や心臓を横切ります。
おへその前と真うしろも同じです。腰に貼るときはパッドどうしを左右ならびにし、体の前と後ろではさまないようにしてください。
陰部と、皮膚に異常がある場所に、低周波治療器のパッドを貼らない
陰部への貼りつけはできません。皮膚に傷や湿疹、日焼けの赤み、かぶれ、手術のあとの傷あとがある場所もさけてください。
異常のある皮膚に電流を流すと、症状が悪くなったり、やけどのようなかぶれがおきたりすることがあります。
パッドを貼るところを毎回すこしずつずらしておくと、同じ皮膚にばかり負担がかかるのをさけられます。
かゆみが出やすい人は、同じところへつづけて貼らないようにしてください。
左右の足の裏に、同時にパッドを貼らない
左右の足の裏に同時にパッドを貼ることはできません。電流が下半身から心臓を通って反対の足へ流れる道になり、心臓に負担がかかるおそれがあるためです。
両足の疲れが気になるときは、太ももやふくらはぎなど、同じほうの足の2か所に貼ってください。
医師に相談してから低周波治療器を使う条件

次の条件に当てはまる人は、自分で決めずに、かかりつけ医へ低周波治療器を使ってよいかを相談してください。オムロンとパナソニックの公式資料に共通して書かれている条件です。
相談するときは、機種の名前と、どこにどのくらいの時間あてるつもりかまで伝えると話が早くなります。てもとの取扱説明書をそのまま見せてもかまいません。
聞きたいことをメモにして持っていくと、短い診察のあいだでも伝えきれます。
妊娠中と出産直後の人は、低周波治療器を使う前に医師へ相談する
妊娠中と、出産してすぐの人は、医師に相談してから使うことになっています。おなかや腰に電流が流れたときの胎児や母体への影響が、確かめられていないためです。
腰痛が気になっても、産婦人科の医師へ相談するまでは、低周波治療器を使うのをひかえてください。おなかの張りが気になるときは、なおさらです。
心臓・血圧・脳の病気で治療を受けている人は医師に相談する
心臓の持病、不整脈、狭心症、高血圧・低血圧、脳の病気で治療を受けている人は、前もっての相談がいります。
低周波の電流は心拍や血圧に影響することがあり、飲んでいる薬との組み合わせによっては、症状を悪くするおそれがあります。
悪性腫瘍がある人は、低周波治療器を自分だけの判断で使わない
がんの治療中や、がんと診断された場所に使うときは、かならずかかりつけ医へ相談してください。腫瘍のある場所に電流を流して安全かどうかは、家庭用の低周波治療器では確かめられていません。
皮膚の感覚がにぶっている人・糖尿病の合併症がある人は医師に相談する
糖尿病の合併症で足の感覚がにぶっている人、しびれで刺激の強さがわからない人は、そのままでは使えません。刺激が強すぎてもやけどに気づけず、皮膚を傷めることがあるためです。
低周波治療器を使う前に、糖尿病のかかりつけ医へ使ってよいかを相談してください。
38度以上の発熱・感染症・急なけがや痛みがある人は、低周波治療器を使わない
体温が38度以上ある発熱のときや感染症にかかっているあいだは、いったん使うのをひかえてください。ぎっくり腰などの急な痛み、脊椎の骨折・捻挫・肉離れのすぐあとも同じです。
急な炎症に電流を加えると、症状が悪くなることがあります。症状が治まってから、または医師の許可を得てから使ってください。
いそいで使う理由は、どこにもありません。
低周波治療器を使っている間に、使うのをやめる目安

低周波治療器を使う前の条件をすべて満たしていても、使いはじめてから体に合わないことがあります。次のサインが出たら、その日は使うのをやめてください。
低周波治療器を使いはじめて体の調子が悪くなったら、使うのをやめる
貼っている最中や外したあとに、次のいずれかの症状が出たら、すぐに使うのをやめてください。
- めまい・動悸
- 胸の圧迫感
- 気分の悪さ
翌日も同じ症状が出るようなら医師に相談します。がまんしてつづけると原因の切り分けがむずかしくなるため、一度間をあけてから様子を見てください。
皮膚に赤み・かぶれ・水ぶくれが出たら、その場所への貼りつけをやめる
パッドを貼っていた場所にはっきりした赤みやかぶれ・水ぶくれが出たら、その場所への貼りつけをやめてください。数日で治まらないとき、または赤みの範囲が広がるときは皮膚科を受診します。
やめたあとは、その日のうちに同じところへ貼り直さないでください。次に使う日に同じことが起きるかどうかを見ておくと、医師へ伝えるときに話しやすくなります。
いつ・どのあたりに貼っていたかもおぼえておけると、なおよいです。
ジェルシートの汚れや使用期限切れが原因のこともあります。パッドの取り替え時期も合わせて確認してください。
低周波治療器を使う前に、自分で確かめる3つのこと

低周波治療器をはじめて使う前と、久しぶりに使う前には、次の3つを確かめてください。
- てもとの取扱説明書:機種ごとに、低周波治療器を使ってはいけない場所や医師に相談がいる条件がはっきり書かれています。ほかの機種の情報で代わりにしません。
- かかりつけ医への相談:持病があるとき、薬を飲んでいるとき、妊娠中や妊娠の可能性があるときは、医師に低周波治療器を使ってよいかを聞きます。
- パッドを貼る位置の確認:取扱説明書の貼り方の図と貼ってはいけない場所を照らし合わせ、心臓・首から上・内臓をはさむ位置をはずします。
取扱説明書は、はじめのほうにある「安全上のご注意」のページを見てください。低周波治療器を使ってはいけない人と、パッドを貼ってはいけないところが、そこにまとめて書かれています。
紙の取扱説明書がてもとにないときは、メーカーのサイトで機種の名前から探すと、同じものを画面で読めます。機種の名前は、買ったときの箱か本体の裏で確かめてください。
低周波治療器の全体像や貼り方の基本は、低周波治療器の基礎知識ガイドにまとめています。
使いすぎで起きやすい不調と、低周波治療器の1日に使う時間の目安は、低周波治療器の使いすぎと使用時間の目安を参考にしてください。
よくある質問
Q. 家族にペースメーカーを使う人がいます。同じ部屋で低周波治療器を使ってもよいですか
ペースメーカーをつけている人が使えないのはもちろん、その人のそばで低周波治療器を使うこともさけてください。電流の影響で誤作動するおそれがあります。
別の部屋など、十分に距離を取れる場所で使ってください。同じ部屋で使うのは、さけておきましょう。
Q. 妊娠にきづく前に低周波治療器を使ってしまいました。大丈夫でしょうか
妊娠中に使うのはさけることになっていますが、きづく前に短時間使っただけなら、あわてて受診する必要はありません。次回の妊婦健診で医師に状況を伝え、そのあとは使うのをひかえてください。
Q. パッドを貼った跡が赤くなりました。使い続けてよいですか
赤みが数時間で消えるくらいなら、同じところへつづけて貼るのをさけ、位置をずらして様子を見ます。貼るところを変えるだけでも、落ち着くことがあります。
かゆみをともなう発疹や水ぶくれが出たときは、その場所への貼りつけをやめ、治まらなければ皮膚科を受診してください。
Q. 貼ってはいけない場所に、短い時間だけ貼るのもいけませんか
短いあいだでもさけてください。メーカーの資料は、あてる時間の長さで分けておらず、その場所には貼らないことを条件にしています。
ためしに1回だけ、というのもやめておきましょう。
まとめ
低周波治療器は、家で使える医療機器ですが、次の3つの条件で使ってよいかどうかがはっきり分かれます。
- 体につけている医用電気機器
- パッドを貼る体の場所
- 体の調子と持病
ペースメーカーや心電計といっしょには使えません。心臓の近く、首から上、内臓をはさむ位置、陰部、皮膚に異常のある場所には貼れません。
妊娠中、心臓や脳の病気、悪性腫瘍、感覚障害、発熱や感染症、急なけががある人は、医師に相談してから使いましょう。ひとつでも当てはまるなら、まず聞いてみてください。
低周波治療器を使う前に取扱説明書を確かめ、かかりつけ医へ相談しておくと、家で使うときのつまずきの多くをふせげます。
当てはまるかどうか迷った条件があるときは、使わずに医師へ相談してください。低周波治療器を安全に使える範囲を確かめたうえで、痛みのケアに役立ててください。
参考情報
- オムロン公式FAQ|低周波治療器を使用してはいけない方(禁忌)と医師に相談が必要な方
- パナソニック|家庭用電気治療器 安全に関するご注意
- PMDA 家庭用低周波治療器基準(JIS T 2003 準拠)
- オムロン低周波治療器 HV-F022 取扱説明書(安全上のご注意)

