低周波治療器

糖尿病や感覚低下がある人が低周波治療器を使う前の注意点

低周波治療器と確認用のメモを手に、使用前の準備を検討する家庭の場面のイラスト
トモ

あなたは糖尿病の治療中に、肩や腰のコリを家で楽にしたくて低周波治療器を探していませんか?ところが取扱説明書には「糖尿病の人は医師に相談」とだけあり、機器を使ってよいかどうかの答えは見つかりません。

感覚が鈍っていることに気づかないまま使うと、電流が強すぎても体が痛みで知らせてくれず、パッドを外したときに水ぶくれや赤みが残っていることがあります。

糖尿病があると小さな傷でも治りにくいので、機器を使い始める前の確認がいっそう大事です。

この記事では、糖尿病がある人が低周波治療器を家庭で使うときの注意点をまとめます。

皮膚トラブル・メーカーの位置付け・主治医への相談・機器の家庭での使い方・受診の目安の順に扱います。

糖尿病や感覚が鈍った人が低周波治療器を使うと何が起こりやすいか

低周波治療器のパッドを外したあとに皮膚の赤みを確認する場面のイラスト

低周波治療器は、微弱な電気で筋肉と神経を刺激する家庭用の管理医療機器です。健康な人なら心地よい振動として感じる電気も、皮膚の感覚が鈍った人には強すぎても弱すぎても正しく伝わりません。

糖尿病があると、この感じ方の低下が知らないうちに進んでいることがあり、機器を使うときの前提が崩れてしまいます。

低周波治療器の刺激の強さを、痛みで測れなくなる

通常、低周波治療器はピリピリするけれど不快ではない範囲まで強さを上げて使う機器です。

糖尿病情報センターの神経障害の解説によると、両側の足先にしびれ・痛み・冷感が起こり、物に触れたときの感覚が鈍くなる特徴があります。

この状態で低周波治療器のパッドを貼ると、実際は電流が強く流れているのに本人は「ちょうどよい」と感じてしまい、筋肉の強いけいれんや皮膚の炎症を招きます。

健康な人向けの「感じ方で決める」やり方は、そのままでは使えません。

低温やけどと皮膚の傷に、貼っている本人が気づけない

糖尿病情報センターによれば、感覚が鈍ると画びょうやガラスの破片を踏んでも気づかない例があります。

低周波治療器のパッドを長く貼ったときも同じで、熱がこもって軽いやけどになっても痛みで教えてくれません。パッドを外したときに初めて赤みや水ぶくれが残っていることに気づく、という遅れが起こります。

糖尿病があると傷ができても治りにくく感染が広がりやすいので、家庭でのセルフケアだけで終わらせずに医療機関へつなぐ判断が要ります。

メーカーの取扱説明書では糖尿病がどう扱われているか

低周波治療器を売る各メーカーは、糖尿病について「絶対に使えない」ではなく「医師と相談してから」の位置に置いています。ここを思い違いすると、あきらめなくてよい人まであきらめてしまいます。

オムロンは糖尿病を医師と相談してから使う対象に挙げている

オムロン公式のよくある質問「低周波治療器を使ってはいけない人は?」には、次のように書かれています。

低周波治療器を絶対に使ってはいけないのは、ペースメーカーなどの体内植込型医用電気機器や、心電計などの装着型医用電気機器を使っている人だけです。

そのうえでオムロンは、事故や体調不良を防ぐために医師と相談してから使ってほしい人を挙げています。糖尿病に関わるのは次の項目です。

  • 糖尿病などによる高度な末梢循環障害による知覚障害のある人
  • 皮膚知覚障害、または皮膚に異常のある人
  • 血行障害のある人

糖尿病が進んで足の感覚が鈍っている人は、この3つすべてに当てはまりやすくなります。「低周波治療器がまったく使えない」ではなく「主治医が使ってよいと言えば使える」というのが、メーカーの立場です。

パナソニックの家庭用電気治療器も医師への相談を求めている

パナソニックの「治療器 安全に関するご注意」も、オムロンと同じ立場をとっています。

「糖尿病などによる高度な末梢循環障害による知覚障害」「皮膚知覚障害または皮膚に異常がある」場合は、医師と相談してから使うようパナソニックも求めています。

オムロンと共通しているのは、感覚が鈍った状態を機器の設定側では補えないという考え方です。そのため低周波治療器を使ってよい人かどうかの判断を、メーカー側は主治医に委ねる形になります。

取扱説明書に自分の状態が載っていたら、相談する先はメーカーではなく医師だと考えてください。

低周波治療器を使う前に、主治医へ何を聞けばよいか

「医師に相談してください」とあっても、何を聞けば許可や不許可が出るのかは書かれていません。診察を受けるときに次の準備をしていくと、判断が短時間で出ます。

診察前に3つの質問を紙に書いておく

低周波治療器について主治医に聞くのは、次の3点で十分です。

  • 低周波治療器のパッドを貼ってよい部位はどこか(首から下のどの範囲まで許可か)
  • 低周波治療器の1回あたりの使用時間と、1日の合計時間の上限
  • 低周波治療器を使うのをやめる目安(皮膚の色の変化、腫れ、しびれの悪化など)

診察室で思い出しながら話すと聞き漏らしが起きます。上の3点を紙かスマートフォンのメモに書いて持っていくと、医師も答えやすくなります。

糖尿病の治療歴と、使う低周波治療器の情報を持っていく

主治医には、糖尿病の治療歴と直近のHbA1c(過去1〜2か月の血糖値の平均を示す検査値)を伝えてください。神経障害や網膜症などの合併症があるかどうかも、併せて伝えると診察がスムーズです。

使う予定の低周波治療器の型番とパッドのサイズ、できれば取扱説明書の該当ページのコピーを持っていきます。

機種ごとに出せる電流の強さや温熱がつくかどうかが違うので、実物の情報があると、貼る部位と時間について具体的な指示を出してもらいやすくなります。

医師の許可が出たあとに、家庭で守る低周波治療器の使い方

家庭で低周波治療器を使う前にパッドを貼らない部位や皮膚の状態を家族と確認する場面のイラスト

医師から使用の許可が出ても、皮膚の感覚が鈍った状態そのものは変わりません。家庭では健康な人向けの手順より一段慎重に使います。

パッドを貼ってはいけない部位を先に決めておく

低周波治療器は機種ごとに、貼ってはいけない部位が取扱説明書で決まっています。お使いの機種の一覧を先に確かめてください。

家庭用低周波治療器向けパッドの取扱説明書も、パッドを貼った部分に発疹・発赤・かゆみが出た場合は使用を中止し、医師に相談するよう求めています。

糖尿病があって感覚が鈍った人は、取扱説明書の一覧に加えて足先やすねなど神経障害が出やすい部位も避けます。特に足の裏や指の間・くるぶし周りは、糖尿病があると小さな傷から感染が広がりやすい部位です。

医師にも部位を確かめて、家庭で貼らない部位のリストを紙に書いて機器の近くに貼っておくと、家族が使うときにも共有できます。

低周波治療器の強さは最弱から始めて、痛みで判断しない

健康な人向けの目安「ピリピリするけれど不快ではない強さ」は、感覚が鈍った人には使えません。最弱から始めて、目に見える筋肉の動きを基準にします。

パッド周りの皮膚がピクッと動いた段階で止め、感じ方に頼って強さを上げないでください。同じ強さでも、日によって皮膚のコンディションで反応が変わります。

毎回一番弱いところから上げ直すほうが安全です。

低周波治療器の使用時間を短くし、途中と直後に皮膚を目で見る

低周波治療器の1回の使用時間は、メーカー推奨の下限にあたる10分ほどから始めるのが安全です。10分たったらパッドを一度剥がし、皮膚の色や赤み・水ぶくれ・水気の有無を目で確かめます。

自分では見えない背中や腰は、手鏡を使うか家族に見てもらいましょう。

低周波治療器を使い終わったあとも、貼っていた場所の様子を数時間おきに見ておくと、あとから出てくる赤みや水ぶくれを見逃しません。

同じ場所に毎日続けて貼らず、日を空けて位置を変えると、皮膚への負担を分散できます。

低周波治療器の使用を中止して医療機関を受診する目安

次のどれかが1つでも当てはまったら、その日は低周波治療器を使うのをやめて医療機関に連絡してください。

糖尿病があると小さな異変でも悪化が早いので、迷ったときは受診したほうが安全です。

  • パッドを貼っていた場所に、赤み・腫れ・水ぶくれ・皮がむけたところがある
  • 低周波治療器を使ったあとに、しびれや冷感がいつもより強い、または新しい部位に出た
  • 使用中に自分でも分かるほど強い痛みや、筋肉の激しいけいれんがあった
  • 貼った部位から離れた場所に、胸の痛み・動悸・めまいが出た

症状の種類で連絡先を分ける

皮膚の症状だけであれば皮膚科でよく、しびれや冷感の悪化・動悸・めまいなど全身の症状があれば、糖尿病の主治医へ先に連絡してください。判断に迷うときは主治医が窓口です。

低周波治療器は治療目的の機器ではない

低周波治療器は自宅で肩や腰のコリをほぐすための機器であり、糖尿病神経障害そのものの治療を目的にしていません。血糖の管理と神経障害への対応は、主治医が用意している治療計画で進めてください。

よくある質問

Q. 血糖値が安定していれば、主治医に相談せず低周波治療器を家庭で使ってよいですか

血糖値が安定していても、末梢の感覚が鈍っているかは自分で判断できません。オムロンとパナソニックの取扱説明書はどちらも糖尿病を「医師に相談」の対象に挙げています。

血糖値の管理状況にかかわらず、主治医に一度確かめてから低周波治療器を使ってください。使用中に不安があれば、そこで一度止めて主治医へ相談するのが安全です。

Q. 糖尿病があっても、低周波治療器を通常の時間どおりに使ってよいですか

通常の時間どおりではなく、短めに始めてください。オムロン公式の案内では、低周波治療器の1日の上限時間は機種によって30分または60分です。

糖尿病で感覚が鈍い場合は、1回10分ほどから始めて途中でパッドを剥がし、皮膚の状態を目で確認します。1回と1日の上限は、主治医に相談して決めてください。

Q. 低周波治療器の機種ごとに、糖尿病の人が確認しておくべき点はありますか

あります。オムロンの取扱説明書ダウンロードページには、パッドの大きさや温熱の有無が違う機種が並んでいます。

その中の1つが、大型パッドと温熱に対応する上位機種であるHV-F1200-Jです。

糖尿病があって感覚が鈍い場合は、温熱機能付きの機種を長時間使い続けない工夫が要ります。取扱説明書を主治医に見せ、具体的な指示をもらってから使い始めるのが安全です。

まとめ

糖尿病や皮膚の感覚低下があるからといって、低周波治療器を一律に使えないわけではありません。ただし刺激の強さを自分の感じ方で決められないので、健康な人と同じ手順ではリスクが高くなります。

低周波治療器を家庭で安全に使うための要点は、次の3つです。

  • 低周波治療器を使う前に、主治医へ「貼ってよい部位」「1回と1日の使用時間の上限」「中止する目安」を相談する
  • 低周波治療器を使うときは最弱から始めて短時間で切り上げ、パッドを外すたびに皮膚を目で確認する
  • 赤み・しびれ・強い痛み・離れた部位の異常が1つでも出たら、低周波治療器の使用を中止して医療機関へ連絡する

この順番を守れば、肩や腰のコリを家庭でほぐすときも無理がありません。低周波治療器の基本的な仕組みや、初めて選ぶときの見方は「低周波治療器の基礎知識」にまとめています。

低周波治療器には、糖尿病以外にも使ってはいけない状況(禁忌)があります。まとめて確かめたい場合は、「低周波治療器を使ってはいけない人とパッドを貼ってはいけない部位」を先に読んでください。

主治医への相談と家庭での確認手順をそろえておけば、低周波治療器を使ってよいかを判断でき、皮膚の異変にも早く気づけます。

主治医に使ってよいと確かめた人は、粘着力の落ちたパッドを貼り続けないように、次の記事で替え方を確かめてください。

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ほかのパッドを使っている人は、パッドの種類に合わせて次の記事を参考にしてください。

使っているパッドの種類は、本体の型番から取扱説明書で確かめられます。

参考情報

運営者
トモ
トモ
低周波治療器専門ブロガー
元工場勤務の37歳。現場作業で痛めた腰を救ってくれた低周波治療器に魅了され、専門ブログ「ビリログ」を開設。現在は大阪で2人の子供を育てる傍ら、数々のセルフケア機器を検証中。実体験に基づいた低周波治療器のレビューなどを本音でお届けします。
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