低周波治療器

ペースメーカー使用中に低周波治療器が使えない理由と確認手順

ペースメーカー使用者と家庭用低周波治療器の併用禁止を示す編集イラスト
トモ

あなたやご家族がペースメーカーを使っていて、肩や腰のつらさに家庭用の低周波治療器を試してよいのか迷っていませんか?

答えは決まっていて、ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)などの体に埋め込む医用電気機器を使っている人は、低周波治療器を使えません。販売元がはっきりと禁じています。

  • オムロンは低周波治療器について「絶対に併用しないでください」、パナソニックは家庭用電気治療器について「併用は絶対にしない」と明記
  • 強さを最弱にする・心臓から遠い足やふくらはぎに貼るといった条件付きの使用を認める記載は、どちらにもない

この記事ではまず、低周波治療器を使ってはいけない理由を示します。そのあと対象になる機器の範囲・家族の機器を試すことの危険・主治医に確かめる手順・電気を使わない痛みの対処法までを整理する構成です。

買う前・試す前に読めば、自分は低周波治療器を使ってよいのかどうかを判断できます。

なぜペースメーカー使用中に低周波治療器を使ってはいけないのか

低周波治療器の電流がペースメーカーの信号と干渉する仕組みを示すイラスト

低周波治療器は、パッドから体の中へ弱い電流を流して筋肉を動かす家庭用電気機器です。

この電流と機器から出る電磁波が、心臓の中で信号を出しているペースメーカーの回路と干渉します。

パッドから流れる電流がペースメーカーを誤動作させる

ペースメーカーは体内の微弱な電気信号を読んで動く機器で、外から強い電流が入ると心臓の信号と読み違えてしまう仕組みです。

誤読が起きた結果、必要なタイミングで刺激が出なかったり、逆に不要な刺激が出たりする恐れがあります。低周波治療器のパッドは、この誤読を招く電流を直接体へ流してしまう部品にあたります。

起こりうる症状は失神、めまい、命に関わる不整脈

日本不整脈デバイス工業会は、身体に通電する家庭用機器の使用で失神などの症状が起こる可能性を警告しています。

対象は低周波治療器・EMS・電気風呂・体脂肪計・高周波治療器・医療用電気治療器です。

ペースメーカー使用者は心拍の一部を機器に補ってもらっている状態のため、誤動作でその補助が止まると、めまい・意識消失・命に関わる不整脈へつながります。

「最弱で当てる」「心臓から離す」でも回避できない

強さを最弱にしてもパッドから流れる電流の性質は変わらず、オムロン公式のよくある質問にも「絶対に使用しないでください」と書かれています。

時間・強さ・部位を工夫しての条件付き使用も認められておらず、心臓から離した太ももや足に貼る・5分だけ試すといった逃げ道はないと考えてください。

使えないのはペースメーカー本体だけではありません

家庭用の低周波治療器を使ってはいけない体内機器は、ペースメーカーだけではありません。

名前が違っていても、電気で心臓を制御している機器はすべて同じ扱いです。オムロンは併用してはいけない医用電気機器を、体内植込型・生命維持用・装着型の3つに分けています。

対象になる主な体内植込み型・装着型の医用電気機器

低周波治療器と併用できない主な医用電気機器は次のとおりです。

  • ペースメーカー(脈が遅くなる病気で使う機器)
  • 植込み型除細動器(ICD)(命に関わる不整脈を止める機器)
  • 両心室ペーシング機能付き機器(心不全治療で使う心臓再同期療法の器具であるCRT-Pと、CRT-Pへ除細動機能を併せもつ機器であるCRT-D)
  • 装着型の心電計(ホルター心電計のように体に付けて測る医用電気機器)
  • 人工内耳などの体内植込み型の医用電気機器

これらのどれかを使っているとき、家庭用の低周波治療器は使えません。

輸液ポンプや在宅酸素の機器など体の外に付けて使う医用機器があるときも、まず主治医に確かめてから判断してください。

対象になる家庭用機器は低周波治療器だけではない

日本不整脈デバイス工業会は、EMS・電気風呂・体脂肪計・高周波治療器も同じく避けるべき機器としており、EMSは筋力トレーニング用の電気機器の総称にあたります。

ふくらはぎ用のEMSシート・銭湯やスポーツジムの電気風呂・体組成計付きの体重計は、電流を体に流す点で同じ扱いです。買い替えのときや外出先でも、この範囲をひとまとめで避けると失敗しません。

家族の低周波治療器を借りて試すことも避ける

ペースメーカーを使っている人がいる家庭では、それが自分か家族かで判断が変わります。自分が使用者のときと、家族が使用者で自分は健康なときの二通りに分けて確かめてください。

自分がペースメーカー使用者の場合、1回だけの試用も避ける

自分がペースメーカーを使っているとき、家族が持っている低周波治療器を「1回だけ」「弱くだけ」と試すことも避けてください。

自分の体にパッドを貼った時点で、電流は自分のペースメーカーに届きます。強さを絞ってもリスクは残るため、貸し借りそのものをやらないと決めておくと安全です。

家族が使用者で自分は健康な場合の線引き

逆に家族がペースメーカーを使っていて自分は健康なとき、自分が低周波治療器を使うこと自体は禁止されていません。

ただし通電中のパッドを家族の胸元や背中に触れさせないでください。使用中に密着して抱きかかえるのも避けましょう。

使い終わったあとの本体・パッドを家族の胸元に置いたままにしないだけで、日常のトラブルはほぼ避けられます。

自分の体に低周波治療器を使えるかを確認する3つの手順

主治医に機種名と貼る部位を伝えて相談する場面のイラスト

低周波治療器を使えるかどうかを、自分だけで決めないでください。次の順に確かめます。

手順1:買う前にその低周波治療器の取扱説明書を確認する

家庭用の低周波治療器の取扱説明書には必ず「使用してはいけない人」の欄があります。オムロンとパナソニックの案内も、体内植込み型医用電気機器を使う人を先頭に挙げています。

家庭用の低周波治療器は管理医療機器にあたるので、公式の製品情報でも併用してはいけない医療機器を確かめてください。

取扱説明書は各社の公式サイトで機種名を検索すると、電子ファイル形式であるPDFで読めます。買ったあとではなく、買う前に読んで判断してください。

手順2:主治医またはペースメーカー外来へ、機種名と貼る部位を伝えて相談する

自分のペースメーカーの種類を主治医に伝えます。

併せて使いたい低周波治療器の機種名(たとえばオムロン家庭用低周波治療器の型番であるHV-F1200)と、貼りたい部位(肩・腰・太ももなど)も伝えます。

ペースメーカー手帳があるときは、一緒に持っていってください。

日本不整脈心電学会も、患者向けの案内で「取扱説明書と公式の安全情報をまず参照し、それに従う」ように示しています。

手順3:店頭体験、健康フェアの無料体験も断る

家電量販店・整骨院・健康フェア・ドラッグストアの体験コーナーで、低周波治療器の試着を勧められることがあります。

ペースメーカーを使っている人は、この体験装着も断ってください。

1分の試用でも電流は流れます。「ペースメーカーを入れているので試せません」と伝えれば済みます。

ペースメーカーを使っている人が肩や腰の痛みへできること

低周波治療器が使えなくても、肩や腰の痛みへの対処は残っています。

次のような方法は電気を体に流さないため、ペースメーカーの動きを乱しません。

  • 蒸しタオルや温熱シートで肩・腰を温めて血流を促す
  • 無理のない範囲でのストレッチと軽い運動を毎日続ける
  • 貼り薬や飲み薬は他の薬との飲み合わせを主治医に確認したうえで選ぶ
  • 痛みが2週間以上続くときや、しびれや脱力があれば整形外科を受診する

温熱パッドや使い捨てカイロも、ペースメーカーの真上を長時間温め続けなければ問題ありません。「電気を流さないセルフケアで今の自分に向くのは何か」を主治医に聞くと、具体的な選択肢を教えてもらえます。

低周波治療器の基本的な仕組みや使い方は、「低周波治療器の基礎知識」の記事にまとめました。

低周波治療器を使ってはいけない人と部位の一覧は、「使ってはいけない人と貼ってはいけない部位」の記事で整理しています。

よくある質問

Q. 家族の低周波治療器を借りて1回だけ試してもいいですか?

試さないでください。自分の体にパッドを貼った時点で電流はペースメーカーへ届くため、1回・弱設定でも回避できません。

Q. 心臓から離れた足やふくらはぎに貼れば使えますか?

低周波治療器のパッドを貼る位置を変えても、電流の性質は変わりません。オムロン公式の案内も部位を限定した低周波治療器の使い方を認めておらず、太ももや足に貼っての使用も避けてください。

Q. スポーツジムのEMSベルトや電気風呂はどうですか?

低周波治療器と同じく避けるべき機器です。日本不整脈デバイス工業会がEMS・電気風呂・体脂肪計・高周波治療器を同じ扱いで警告しています。

まとめ

ペースメーカーや植込み型除細動器を使っている人は、家庭用の低周波治療器・EMS・電気風呂・体脂肪計を使えません。

オムロンとパナソニックの安全情報、日本不整脈デバイス工業会の案内が、身体に通電する機器を使うことを明確に禁止しているためです。

強さを絞る・心臓から離すといった工夫では、リスクは避けられません。家族が持っている機器を借りて試すこと、店頭や健康フェアでの無料体験も同じ扱いになります。

買う前にやることは次の3つです。

  • 低周波治療器の取扱説明書で「使用してはいけない人」の欄を確認する
  • 迷った時点で機種名と貼りたい部位をそろえて主治医やペースメーカー外来に相談する
  • 店頭体験・無料体験は断る

肩や腰のつらさへは、温める・動かす・貼り薬や飲み薬を主治医と選ぶといった電気を流さない方法が残っています。低周波治療器が使えないこと自体は、痛みの対処をあきらめる理由にはなりません。

家族が低周波治療器を使っていて、パッドの替えを探している場合は、次の記事を参考にしてください。

あわせて読みたい
オムロンのロングライフパッドの粘着力が落ちたときの対処法と互換パッドの選び方
オムロンのロングライフパッドの粘着力が落ちたときの対処法と互換パッドの選び方

ほかのパッドを使っている人は、パッドの種類に合わせて次の記事を参考にしてください。

使っているパッドの種類は、本体の型番から取扱説明書で確かめられます。

参考情報

運営者
トモ
トモ
低周波治療器専門ブロガー
元工場勤務の37歳。現場作業で痛めた腰を救ってくれた低周波治療器に魅了され、専門ブログ「ビリログ」を開設。現在は大阪で2人の子供を育てる傍ら、数々のセルフケア機器を検証中。実体験に基づいた低周波治療器のレビューなどを本音でお届けします。
記事URLをコピーしました